中国の支払い — QR 決済と現金の現実

中国の支払い — QR 決済と現金の現実

Photo: Harald Groven · CC BY-SA 2.0

「現金が使えない」の正確な意味と、出国前に済ませておくべき一手間。

中国の飲食店のカウンターに置かれた QR コード決済の札
店先の QR コード。中国の支払いはここから始まる · Photo: Harald Groven, CC BY-SA 2.0

中国で一番戸惑うのは技術ではなく順番です。WeChat Pay も Alipay も到着後に入れられますが、本人確認の段階で本国発行のカードを要求されます。空港に着いてから取りかかると、電波と時間と気力を同時に失います。出国前に一度、家の回線で最後まで通しておいてください。

うまくいかない原因の大半はこの一点に集約されます。アプリを入れたことと、決済が実際に通る状態であることは別の話で、後者には国をまたぐ認証が要ります。ここを先に潰しておけば、残りは全部その場で何とかなります。

「現金が使えない」の正確な意味

人民元は法定通貨で、店が受け取りを拒むことは法的にはできません。現実に起きるのは拒否ではなく、屋台の店主が釣り銭を持っていない、あるいは店に QR 決済の端末しか置いていないという状況です。対応できないのであって、断っているわけではありません。

現金が本当に要るのは、地方の小さな商店、寺院の賽銭、山岳地帯の入場料、そしてスマートフォンの電池が尽きた時です。上海や北京の中心部で一日を過ごすなら、財布を開く機会はほとんどありません。四川省の農村へ足を伸ばすなら、100 元札を数枚持っておくと助かります。

  • コンビニ・チェーン店・地下鉄 — 現金より QR 決済のほうが速い
  • 個人経営の飲食店 — QR 決済のみの店が増えている
  • 屋台・市場 — 現金が依然として最も速い
  • 地方の長距離バス — 窓口によっては現金のみ
  • 寺院の賽銭箱 — 少額紙幣が要る

出国前に済ませる手順

  1. アプリを入れる。WeChat Pay と Alipay を両方入れておくと、片方が認証で止まっても詰みません。
  2. パスポートを登録する。氏名は券面と一字違わず合わせます。
  3. 本国発行のカードを紐づける。デビットよりクレジットのほうが通りやすい傾向があります。
  4. 少額の決済を一度試す。空港の自販機でも構いません。成功体験を作っておくのが目的です。
  5. カード会社に渡航の連絡を入れる。中国からの初回決済を不正利用と誤判定されることがあります。

この五つのうち、実際に時間がかかるのは三番目です。認証の可否はカード会社と発行国によって変わるので、出発の 3 日前には着手しておきたいところです。失敗した場合の代替手段が二つ以上ある状態にしておくのが、いちばん確実な備えになります。

ATM と手数料の実額

銀行の ATM は主要都市なら地下鉄の駅構内にも置かれています。国際ブランドに対応した機械を選び、画面の表示言語を切り替えてから進めてください。手数料は二重にかかり、中国側の銀行が引く分と本国のカード会社が引く分が別に発生します。

少額を小分けに引き出すのが最も割高です。まとまった額を一度に引き出し、残った人民元は出国前に使い切るか、空港で両替し直します。空港のレートは最も悪いので、最後の手段として位置づけておくのが妥当です。

少額の支払いを滞らせない

地下鉄の乗車券、屋台の軽食、公衆トイレの紙。少額の支払いが詰まると一日のリズムが崩れます。アプリの残高を一定額キープしておくことと、現金を二か所に分けて持つことを、両方やっておくと痛い目を見ません。

交通の仕組みも効きます。都市によっては交通系カードと QR 乗車券が並立していて、片方が止まっても動けます。改札の前でどちらが使えるか確認しておくと、乗り遅れを一つ減らせます。

中国の地下鉄駅にある自動改札機と並ぶ乗客の列
地下鉄の改札。QR 乗車券と交通カードが併用されている都市が多い · Photo: A Chinese ID, CC BY-SA 4.0

返金と取消

決済の取消は店側の操作で行われ、アプリの履歴に即時反映されます。誤って二重に支払った場合、履歴の画面を店に見せればその場で戻してもらえることが多い。返金が本国のカードに戻るまでには数日かかるため、出発前に残高を使い切る予定を立てておくと、後から困りません。

  • 二重払い — 履歴画面を提示してその場で取消
  • 返金の反映 — 本国のカードへは数日かかる
  • 残高 — 出国前に使い切るか両替する
  • 明細 — アプリの履歴が最も速い証拠になる

よく聞かれる質問

中国では現金が本当に使えないのですか?

使えます。ただし速くありません。拒否されるのではなく対応できない、というのが実際のところです。都市部では QR 決済が標準なので、現金は補助として持ち歩くのが現実的でしょう。

WeChat Pay と Alipay は両方入れるべきですか?

両方入れるのが無難です。片方が認証や残高の問題で止まったとき、もう片方があればその場で解決します。登録の手間は一度きりで済みます。

カードが使えない場合はどう動けばいいですか?

代替手段を順に試します。別のカード、次に ATM、最後がホテルのフロントでの両替です。三つすべてが同時に塞がることはまずありませんが、現金を一か所にまとめないことが前提になります。

チップは要りますか?

不要です。中国の飲食店やタクシーにチップの習慣はありません。会計は表示された金額をそのまま支払えば終わります。

日本円から両替するならどこが得ですか?

市中の銀行が最も条件が良く、次がホテルのフロントです。空港は便利ですが、レートが最も悪いので必要最小限にとどめてください。